日東工器グループ
リクルートサイト

MENU

PROJECT STORY

ブラシレスデルボ
Cシリーズ(電流制御タイプ)

開発の経緯

従来の「デルボ」は、ドライバ内部にあるスプリングのばね力を手動で変更してねじの締め付け力(以下、トルク値)を設定するクラッチ式ドライバです。そのため、トルク値の調整はその都度手動で行う必要があります。実際の生産現場では、この工程を省くため、4種類のトルク値が必要であれば4台のドライバを用意しなければなりませんでした。こうした背景から1台に集約可能な「電流制御式ドライバ」の開発がスタートしました。

製品の特徴

新型のCシリーズは、当社初の電流でトルク値を制御するドライバであり、付属のコントローラに最大4種類のトルク値が設定できます。モータ電流値をトルク値に換算し、モータを停止させる電流値を変更することでトルク値を設定する仕組みとなっており、トルク値を都度調整する手間なくドライバを1台に集約可能です。また、デルボは海外で使用されることが多いため、電圧やコンセント形状が異なる環境を想定して、電源コードを別売りとしています。コントローラの規格を万国共通とし、電源コードの交換により世界中どの国でも使用可能となるメリットがあります。

開発で苦労したところ

開発着手当初は、さほど難しくないと予想していましたが、実際に試作 を作成してユーザーリサーチをしてみると、予想もしなかった問題が次々に発生しました。 最も頭を悩ませたのが、「ドライバを 10度以下の低温条件下で使用するとトルク値が大きく変化してしまう」という問題でした。原因は、部品の潤滑に使用しているグリスが低温状態で粘度が増したことで、部品を動かすための負荷が増えてしまうことでした。それに伴いモータの負荷も増えて電流が大きくなってしまった結果、トルク値が変化してしまいます。
問題解決のためにさまざまなグリスを評価して耐久試験を繰り返し行いましたが、どれも満足の行く結果が得られずにいました。そんな折、部品の磨耗を減らす画期的なオイルをPR したいメーカーがあると先輩から情報をもらいました。「オイルなら温度による粘度変化が少ないかもしれない」という考えから、実演と説明を受けることにしました。 オイルを評価した結果、グリスとは違い低温度下での粘度変化が少なく、トルク値変化の問題を解決できました。さらに、部品の摩耗も非常に少なくなったことで耐久性が向上するという予想外の成果も得られました。

オイルに変更したことで部品仮固定時の粘度が減少し、細かい部品を扱う組立が難しくなることを懸念していました。しかし、白河日東工器(現・東北日東工器 白河工場)による固定用治具の開発や、オイル切り用の網を使用した生産方法改善などの尽力もあり、量産にこぎ着けることができました。

最後に
本製品の開発にあたり、開発当初からリサーチにご協力いただいた営業部門の方々をはじめ、さまざまなご指導、情報提供をいただいた皆さんに感謝いたします。
ページトップへ