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PROJECT STORY

トップピボット
「NKOS-Mシリーズ」

開発の経緯

建築機器の主力製品である中心吊型オートヒンジは、主に防火ドアに使用されています。ある時、その転倒事故が発生しました。事故の原因は施工業者のミスであり、製品に責任はなかったのですが、施工担当者からは「たとえ施工ミスがあっても事故の起きない安全な製品を作ることこそ、本当のモノづくりではないか」と言われました。
そんな製品を実現できるのか悩んでいた時にドア製造会社から、「簡単にドアを吊り込める回転軸を作ったらどうか?例えば竹の子のような形状にすれば簡単に軸受けの奥まで入るのでは」とアドバイスを受けました。何気ない話でしたが、「これだ!」と感じた瞬間でした。
シャフトを内軸と外軸の二重構造にし、内軸がドアの重量に耐えられれば施工ミスがあってもドアを吊り込むことができ、100%倒れない安全な防火ドアが出来る。これこそが人の命を守る、事故のない安全な製品だと確信して開発を始めました。その想いを込め、NKOS(Nitto Kohki OK Safetyの略です)と名付けました。

ダブルシャフトで安全施工

従来のワンタッチ式トップピボット はトップ軸が1つでしたが、「NKOS-Mシリーズ」はトップ軸が内軸・外軸の二重構造(ダブルシャフト)となっているのが特徴です。内軸を確実にはめ込むことで、ドア転倒を防止できるようになりました。その上、内軸が挿入されている状態で外側の軸を挿入することで、より安全にドアを吊込むことができます。
軸が完全にはめ込めているかどうかを目視確認できるように、蛍光塗料を練り込んだ「確認用ピン」表示と、操作ネジ部の「軸位置確認ライン」表示をそれぞれ設けています。そして、トップ軸を完全にはめ込んだ際のロック機能を設けることで、より安全性を向上できました。
トップピボットとは
ドア上部に取り付けられ、ドアの回転を支えるもの。軸が垂直に上に突き出し、ドア枠側の軸受けにはめ込み使用します。

試行錯誤の開発

2つの軸をワンタッチで別々に上げ、解除時に1回の操作で同時に下げる動作を実現させるのには大変苦労しました。最初の試作品は、その動作に程遠いものでした。原因を調査して2回目、3 回目と試作品を作成しましたが、なかなかスムーズに動かないものばかりで、動作不良の原因を追究するために、部品の形状、角度、位置などを検証するのに丸1日費やした時もありました。
また、軸をしっかり上げるためにはバネを強くする必要がありますが、軸を下げる際にはバネをできるだけ弱くする必要があるので、その条件決めにも苦労しました。2 軸構造としたことで部品点数が従来から倍増し、試行錯誤しながら解決策を探りました。

人力による評価試験

「内軸のみでも扉を支えられるのか?」「強度や耐久性はどうなのか?」などを最大限に考慮して6種類の評価試験を行いました。
中でも、手動で行う「ドアの開閉衝撃試験」は大変でした。最初はテンポよく開け閉めできましたが、ドアが重いため、疲れてくると腕のみの力では180度まで開きません。そこで、腰を入れて開く形で試験を行い、最終的には人間耐久テストみたいになってしまいました(笑)。
「軸の挿入解除試験」は、軸の操作性の確認試験で、ひたすら軸の挿入と解除をマイナスドライバーで動かす試験です。試験翌日は両手首が痛かったのを覚えています。

最後に
防火ドアの転倒事故というピンチをチャンスに変え、シンプルながら誰もが考え付かなかった「シャフトの二軸化」が特許取得につながりました。これが他社に真似されない武器となったことには大きな達成感があり、様々な苦労が報われたと感じています。また、評価試験に協力いただいた、工場の関係各位には大変感謝しています
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