PROJECT STORY
携帯型たん吸引器 Qtum
(キュータム)「QT-500」
PROJECT STORY
携帯型たん吸引器 Qtum
(キュータム)「QT-500」
「Qtum(キュータム)」は、質量・大きさが従来の約1/4の小型・軽量の携帯型吸引器です。乾電池 とACアダプタの2電源対応で、屋内、屋外、停電時、災害時など、使用する状況に応じて電源を選べます。専用小型ポンプにより作動音が静かで、吸引圧がゆっくり立ち上がるため、患者の皆さまに優しい安心設計です。
1.市販の電池で駆動可能に
駆動用電池は、専用の電池ではなく、コンビニエンスストアでも入手できる単3形電池を採用することで利便性を高めました。
2.フロート式流入防止装置
使用中に吸引ボトルが倒れ、吸引物がポンプへ流入して故障しないよう、独自の「フロート式流入防止機能」を考案しました。構造は、「吸引ボトルが倒れる」→「中のボールが転がる」→「ボールがバルブに吸いつきバルブが閉じる」という仕組みになっています。
行政通知で、研修により理学療法士、作業療法士、言語聴覚士に要介護者への吸引行為が認められる ようになりました。「訪問リハビリ等、施設外で使える携帯式吸引器の開発をしてはどうか」と日本理学 療法士協会から得意先を通じて、日東工器へ提案いただいたのが誕生のきっかけです。
吸引器としての性能を確保しながら、在宅使用でも静かで、携帯性に優れたバランスのよい吸引器とすることが開発の課題でした。開発当初は、医療関係者に試作機の意見を伺っても「性能が足らない」と評価されませんでした。そこで、医療関係者へのヒアリングや吸引マニュアルのチェックをし直し、現場での吸引器の使われ方をイメージしながら改良を重ね、吸引性能を確保することができました。性能の実現と並行して、部品の選定・削減・配置の最適化、形状の見直しを行い、小型化を実現しました。
また、開発を始めた頃、医療機器の規格や法律が改正され、対応事項が大幅に増えたことに苦労しましたが、問題なく認証を通すことが出来たときは達成感がありました。
目標コストを達成するため、部品の一体化や形状の工夫による組立工数の削減、部品加工の削減など を行いました。また、工場の皆さんに協力いただき、組立治具を工夫し、組立性の向上と性能の安定化を図ることができました。
最終試作機の評価にて、理学療法士・看護師の方々より、「小型・軽量で、吸引性能も必要十分である」 とコメントを頂戴しました。また、参考出品した介護関係の展示会でも多くの医療関係者に興味を示し ていただき手応えを感じており、ヒット製品になることを期待しています。