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PROJECT STORY

コードレスアトラ
「CLA-2200」

開発の経緯

バッテリ駆動式アトラの構想は以前からあり、実用化しようと何度か試作を繰り返したものの、バッテリやモータの性能、コストが壁となって開発を中断していました。しかし、バッテリ性能が急速に向上したこと、安価なバッテリの調達が可能になったことから、開発を再開しました。

小型軽量を最優先に

まず以下のような製品コンセプトを定めました。
(1)小型軽量化する。(8kg以下)
(2)モータコードを本体の外に出さない。
これらの要件を満たすには、従来型アトラにとらわれない発想が必要となります。まず課題となったのは仕様の確定でした。コンセプトの小型化を優先したため、従来のアトラと比べてパワーの小さいモータを使わざるを得ません。すると、刃物の回転数を従来のアトラの半分程度まで下げる必要があります。回転数を下げると切粉の排出が悪くなり、チップが欠けるなどの現象が起こりやすくなります。この低い回転数による影響を検証するため、時間をかけてデータ取りを繰り返し、穴あけの仕様を決定しました。

デザインを徹底的に検証

バッテリを搭載した現在の形に至るまで、様々なデザインが検討されました。初期の設計案(図)では、切粉や水がバッテリに接触しにくくするため、重いバッテリを本体上部に配置したところ、重量バランスが悪くなり本体が大きくなってしまいました。3次元CADで作成したデザイン案で何度もデザインレビューを繰り返しましたが、なかなか納得する形状になりませんでした。
そこで、当初のコンセプトである小型化を優先させるため、思い切ってバッテリの位置を変更。従来あった高さが低いタイプのアトラを参考にして設計することで、小型・低重心にできました。
また、従来のアトラは本体がアルミ製ですが、今回は軽量化と電気的絶縁を必要としたため、剛性の必要な箇所にのみアルミを使用し、樹脂製のハウジングで覆う2層構造にしてあります。

モータコードの収納

従来のアトラでは、本体と電気ドリルとを繋ぐモータのコードが本体の外部に出ていました。しかし、「コードレス」と称するからには、モータ部と本体部を接続するモータコードも外部に出さないよう、コードを本体内部に収納することにしました。電気ドリルの上下移動に合わせて、コードが本体から出入りするため、そのままではコードに付着した油や水、切粉などが本体内に浸入し、基板損傷の原因になります。それを防ぐため、本体内にコードを収めるためのシールドされた小型のボックスを設け、基板を守るようにしてあります。

バッテリ消耗に多重の安全策

回路設計では、バッテリ駆動の制御ノウハウがほとんどなかったため、故障モード解析(FMEA)といったシミュレーション等の手法を全面的に活用し、安全対策には十分配慮しました。また、製品の小型化に伴って基板も小型化する必要があり、電子部品や基板の発熱対策にも苦労しました。
バッテリ駆動で懸念されていたのは、作業中、放電による磁力低下でアトラが落下する等の危険性です。これについては、バッテリの残量を検出して磁力を制御する「パワーセーブ機能」を、さらに高輝度LEDによる「警告表示機能」を追加し、安全性を高めました。
ほかにも、モータの自動停止機能などを搭載して可能な限りバッテリの消耗を抑えました。制御回路のバグ出し(不具合チェック)にはいろいろな作業条件を想定し、時間をかけて実作業を繰り返しました。安全性向上のため、横ズレや製品の取り付けの向きを検知する最新のセンサを搭載しましたが、モータ等の振動を拾うために誤検出することがありました。そこで、センサ部分は振動の少ないマグネット近くに別置きにして、余分なノイズを検出しないようにできました。

最後に
多くの課題に対して関係各部が一体となって取り組み、製品化、販売に至ったことに達成感を感じています。厳しい納期に間に合わせるために尽力いただいた工場の皆さんや、PR資料を作成いただいた営業部門の方々をはじめ、ご協力いただいた皆さんに感謝いたします。
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